副腎皮質ホルモン剤について |
| 副腎皮質ホルモン剤については、 「ステロイド」と呼ばれる薬として良くご存知の方も多いはずです。
ステロイド剤と聞くと、「何だか怖い」とか「副作用が心配」といったイメージを持っている方も多いようです。 裏を返せば「それだけ確たる作用を持っている」ということにもなります。 新聞などのマスコミによる情報では、副作用の怖さが強調されていますので人間に処方する際には慎重であり、 副作用についての説明もきちんとされているはずです。そして、軽症の疾患には用いられません。 つまり副作用の懸念を考慮した上で、「それでも必要」となる疾患にのみ投与される薬剤です。 副作用はあります。 しかもその発現頻度は決して低いものでもなく、投与量によっては何らかの副作用は「必発」に近いものとなるでしょう。 しかし犬や猫にはどうなのでしょうか?? アレルギー皮膚炎やアトピーと診断された多くの動物たちのほとんどは一度や二度は、投薬経験があります。(私自身も愛猫が使用しました) アレルギーにはステロイドは常識になっているようです。 そして軽症の場合にも使用されることも多いのではないでしょうか。 確かに全身を痒がっている犬や猫を見ているのは辛く、ステロイドにより一時的にでも症状が改善されればホットするでしょう。 サプリメントの与え方については、ご相談ください。 副腎皮質ホルモンとは プレドニン、プレドニゾロン、メドロール、コートリル、パラメゾン、デカドロン、デキサメタゾン、リンデロンなど 糖質コルチコイド製剤による薬物療法 糖質コルチコイドを治療に応用する場合は大きく二つに分けられ、まず一つは副腎皮質機能低下症により副腎皮質ホルモンを補充する必要がある場合で、もう一つは副腎皮質ホルモン製剤のもたらす作用を期待して、必要量より多い副腎皮質ホルモン剤(糖質コルチコイド)を投与する場合です。 実際に副腎皮ホルモン製剤が使用される頻度としては、圧倒的に後者が多く、適応範囲は多岐にわたります。 糖質コルチコイドが、これほど多くの疾患に何らかの有効性を示すことについては、先に説明した「糖新生」のような生理的な作用だけでは、勿論説明できません。 生理的な必要量を超えた薬用量の投与で、これらの疾患に効果が期待できるわけです。 それでは薬用量の糖質コルチコイドは、如何なる作用を持っているかということですが、最も代表的な作用として抗炎症作用と免疫抑制作用が挙げられます。 上記のプレドニゾロンの適応症を参照してみると、「○○炎」といった疾患が多いことが目につきます。 それに加えて、リウマチやエリテマトーデスといった免疫異常が関連すると考えられている疾患や、臓器移植後の拒絶反応を抑制する目的でも使用されます。 身近な例としては「ツベルクリン反応」の注射を行なう際の問診表に「副腎皮質ホルモン剤の投与を受けていますか?」なんて項目がありますが、これも副腎皮質ホルモン剤による免疫抑制反応のために、正しいツベルクリン反応を調べることができないような状況がないかを、事前に確認しておく必要があるためです。 犬や猫の場合には、ワクチン接種時に、ステロイド投薬中であるかの確認がされるはずです。 獣医師によって見解は違うようですが、ステロイド投薬中の場合には、ワクチン接種はしないという医師もいますので、ご確認ください。 このリン脂質からアラキドン酸を遊離させる働きを持つ酵素が「ホスホリパーゼA2」と呼ばれる酵素で、さらにこのホスホリパーゼA2を抑制性に制御しているタンパク質の存在が明らかにされていて、これを「リポコルチン」と呼んでいます。このリポコルチンというタンパク質は、細胞内のDNAから転写されて作られるタンパク質なのですが、副腎皮質ホルモン(糖質コルチコイド)は、この転写を刺激する働きがあるのです。 糖質コルチコイドの大きな特徴として、「糖新生」など糖代謝に影響を及ぼすことは生理作用の項でも触れました。 この生理作用は本来はストレスなどから生体を守る働き、つまり重要な器官である脳や心臓のエネルギーを確保する目的があるのですが、薬物療法では通常の生理的な必要量以上の糖質コルチコイドを投与することが多いため、血糖値の上昇については、ある面では多かれ少なかれ出現してしまう副作用とも言えます。 長期間にわたる投与の場合には、糖尿病による合併症に準じた注意が必要となってきます。 感染症 免疫抑制作用を治療に応用するような場合には、その分だけ細菌やウイルスなどに対する抵抗力が低くなることを意味しますので、感染症に対しては普段以上に注意が必要になります。 副腎の機能不全 副腎皮質ホルモンの分泌は視床下部、下垂体による刺激ホルモンのコントロールを受けています。 具体的には「負のフィードバック」と言って、副腎皮質ホルモンの分泌が増えると、視床下部からのCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌が抑制されて、結果として副腎皮質刺激ホルモン、ひいては副腎皮質ホルモンの分泌も抑制されるという機序が働いています。 従って、薬物によって外因性の副腎皮質ホルモンが投与された場合、常に「負のフィードバック」がかかってしまい、内因性の副腎皮質ホルモンが分泌されない状況を作り出してしまうことになります。 この状況が続くと副腎の萎縮をきたしてしまい、結果として副腎皮質機能不全となってしまう可能性があります。 もしそうなってしまった場合には、副腎皮質ホルモン剤を投与した原疾患が治癒したとしても、生涯にわたって生理量の副腎皮質ホルモン製剤の投与を続けていかなければなりません。 この副腎機能不全を予防するのに、最初の方で触れた「日内リズム」を応用します。 副腎皮質ホルモンの分泌は「朝」に高くて、「夕」にかけて徐々に低下していくというリズムがあるのですが、この状況を「負のフィードバック」に当てはめて考えると、「朝」は副腎皮質ホルモンの分泌が多いので「負のフィードバック」がかかり、これを受けて副腎皮質ホルモンの分泌量が「夕」にかけて徐々に低下していきます。 夜には副腎皮質ホルモン分泌量が低下した状態になり、このとき逆に「負のフィードバック」が解かれ、「翌朝」にかけて徐々に副腎皮質ホルモンの分泌が上昇していくという過程を繰り返していることになります。 薬物療法においても、このリズムを活かすようにして副腎皮質機能不全を予防するようにします。 つまり「朝」に内服するようにして「夜」の副腎皮質ホルモン分泌量の低い時間帯はそのまま残しておくわけです。 そうすることによって内因性の副腎皮質ホルモン分泌を刺激する機構が活かされ、副腎皮質の機能低下を予防することができるという訳です。 実際にプレドニゾロンなどの薬を投与する場合でも、1日1回服用の場合は朝食後、1日2回服用の場合は朝昼食後の服用を指定されることも多く、例えば1日6錠を服用する場合では朝3錠、昼2錠、夕1錠というふうに指定されることが多いのも、副腎皮質萎縮を予防することに配慮したためです。 特有の脂質再分布というと何だかややこしそうですが、満月様顔貌(moon face)や野牛肩(buffalo hump)と呼ばれる体の特定の部位への脂肪沈着を指しています。 満月様顔貌というのは、名前が示すように顔が丸くなる症状で、目につきやすい症状なので比較的有名な副作用です。野牛肩というのも頸の後部に脂肪が集まって沈着することを指していますが、この二つに限らず、薬用量の副腎皮質ホルモンを投与している場合には、総じて手や足などの末梢は細くなり、逆に体の中心部に脂肪が集まるようになってきます。 この理由については、先に触れた「高血糖状態」によって血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌が促進されてくるのですが、インスリンは血糖値を下げて脂肪の生成を促進する作用があり、このインスリンに対する感受性が「副腎皮質ホルモン」の存在下において、四肢(手や足)では低い感受性、体の中心では高い感受性となり、結果として感受性の高い体の中心部(顔や肩など)において脂肪の形成が促進されるとの説があります。 消化性潰瘍 糖質コルチコイド服用により消化性潰瘍(ステロイド潰瘍とも呼ばれます)ができやすいというのは、比較的有名な副作用なのですが、その因果関係については否定的な報告もあるようです。しかしながら、同じ抗炎症剤であるアスピリンなどの酸性非ステロイド性消炎剤でも消化性潰瘍が有名な副作用であり、これら薬剤との因果関係については不明な点があるものの、糖質コルチコイドの副作用として消化性潰瘍は注意しなければならないことは確かなようです。 ステロイド潰瘍では出血や穿孔などの進行した症状が高頻度に出現するとされているので、併せて注意が必要となります。 精神変調 糖質コルチコイド剤による神経症、うつ症状、多幸症などの精神症状は、ある意味で最も注意しなければならない副作用です。というのは、うつ状態からの自殺願望も起こりうるためで、これにより投与中止をやむなく迫られることもあります。 患者さんが亡くなられては「何のための治療か?」わかりませんから……。 糖質コルチコイド剤による治療を受けてみえる患者さんでは、不安や神経症などはある面「薬のせい」と割り切ってしまうのも大切かもしれませんね。 骨粗鬆症 糖質コルチコイドには、腸管からのカルシウムの吸収を減少させ、また腎臓からの排泄を促進させる作用も持っています。 その結果として血中のカルシウムイオン濃度が低下してしまうのですが、これに対して生体は血中カルシウムイオンを戻すために、「上皮小体ホルモン」と呼ばれるホルモンを分泌する機構が働きます。 この機構では、本来は腸管からのカルシウム吸収を促進し、骨からのカルシウムイオン放出をする作用を持っていますが、糖質コルチコイドの作用によって腸管からのカルシウム吸収が抑制されているために、血中カルシウムイオン上昇作用は骨に対する依存度が高まってしまうことになり、結果として骨粗鬆症を招いてしまう恐れがあるわけです。 もちろんこの副作用は急激にあらわれるものではなく、糖質コルチコイドを長期間服用した場合に懸念される副作用になります。このため糖質コルチコイドを長期間服用する場合には、定期的な検査も必要となります。また更年期の女性においては、エストロゲン(女性ホルモン)の低下も骨粗鬆症の重要な要因であることが知られているため、特に注意が必要です。 その他の副作用 糖質コルチコイドによる副作用として、他には白内障、緑内障、月経異常、筋肉痛、ざ瘡(にきび)、多毛などが知られています。 |
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