猫における泌尿器系疾患について

 臨床的に尿路系とは:腎盂、尿管、膀胱、尿道、雄では前立腺ならびに陰茎、メスでは膣ならびにその周辺外陰部までを含む。
尿路系疾患とは:これらの臓器組織、ならびにその周辺臓器組織に起因した疾患。
これまで猫の尿路疾患といえば、尿石症に起因する尿路障害に占められていたが、最近では尿石症の他に神経系、ホルモン性などに起因する尿失禁や排尿障害、慢性化した膀胱炎に起因する頻尿、原因不明で長期にわたる血病などが多くみられるようになり、先天性の泌尿器系異常も含め、診断や治療が難しくなってきているのが現状である。

主な猫の尿路系疾患
尿石症:腎盂結石、尿道結石(FUS、FLUTD)、膀胱結石、急性・慢性膀胱炎(細菌性、非細菌性、医原性)
先天性疾患:異所性尿管、膀胱憩室、尿膜憩室、膀胱潰瘍、膀胱腫瘍、膀胱ヘルニア、尿道陰茎損傷(医原性)
術後の合併症(子宮摘出術、骨盤腔内腫瘤摘出、去勢)
交通事故に伴う合併症(脊椎損傷、馬尾症候群、骨盤骨折)
がよく猫にみられる下部尿路疾患であるが、高齢犬にみられるように避妊や去勢によるホルモン依存性尿失禁については、猫の報告はみあたらないようである。

猫の尿路系疾患の臨床症状
基本的に、排尿障害を伴う場合と伴わない場合がある。
一口に尿路障害といっても排尿困難、頻尿、無尿、多尿、尿失禁、尿意喪失、排尿痛など様々な症状がある。

腎盂結石

  • 血尿(全血尿)、膿尿、結晶尿(みられないことが多い)、背わん姿勢、腹部疼痛。
  • 多尿(腎機能低下に伴い)
  • 発熱(腎盂腎炎の合併、急激な腎機能低下を伴うことがある)

尿管結石

  • 血尿(全血尿)、背わん姿勢、結晶尿(みられないことが多い)腹部疼痛。

膀胱結石

  • >血尿(全血尿または部分血尿)、膿尿、結晶尿(みられないこともある)。
  • 頻尿、(尿失禁はみられない)、排尿困難、排尿痛は意外とみられない。

尿道結石

  • 血尿(初期血尿または排尿終了後に出血)
  • 結晶尿(ストルバイトの場合は多量に観察される)
  • 頻尿、排尿痛を伴った排尿時間の延長、尿線の細小化。
  • 尿意を伴った無尿(完全閉塞の場合)、院軽侮の腫脹、疼痛。

急性細菌性膀胱炎

  • 血尿、頻尿、細菌尿、排尿時間の延長、排尿痛、軽度の発熱

急性非細菌性膀胱炎

  • 血尿、結晶尿(ストルバイト結晶が多量に観察される)

慢性膀胱炎

  • 長期間にわたり尿検査にて潜血反応が持続する。
  • 抗生物質などの治療を中止すると血尿、頻尿が再発する。
  • 頻尿はあまりみられないが、顕微鏡的血尿が持続することがある。
  • 排尿困難、排尿痛は通常みられない。

異所性尿管

  • 猫ではまれ。若齢時より全尿失禁。
  • 血尿は通常みられないが、顕微鏡的血尿が持続することがある。
  • 外陰部周辺に尿性皮膚炎(尿やけ)がみられる。

膀胱憩室、尿膜管遺残

  • 膀胱炎症状に類似、頻尿、血尿がみられることもある。
  • 顕微鏡的血尿が持続する。

膀胱潰瘍

  • 間歇的肉眼的血尿、顕微鏡的血尿の持続、排尿困難、排尿痛、頻尿はみられない、抗生物質、止血剤に反応しない。
  • 慢性膀胱炎を経過したものにみられることが多い。

膀胱腫瘍

  • 重度の持続的全血尿(褐色であることが多い)
  • 通常排尿困難、排尿痛はみられない

膀胱へルニア

  • 特に血尿がみられるが消失、その後排尿時間の延長がみられたり、尿失禁を示すなど多彩な臨床を示す。
  • 交通事故に合併症しやすい。

尿道損傷

  • 骨盤骨折に合併しやすい。
  • カテーテルによる医原性の場合も多い。
  • 血尿(初期血尿)、排尿痛、排尿困難、完全尿道断裂の場合は無尿。

手術後の合併症

  • 術直後より尿意焼失、持続的陰茎勃起症。

交通事故に伴う合併症

  • 受傷後により尿意消失。

尿路系疾患の血液生化学検査所見
主な尿路系疾患において血液生化学的には特徴的な所見は観察されないが、二次的に膀胱炎を合併している場合には白血球が増多。
膀胱腫瘍においては、炎症または腫瘍が膀胱三角部に浸潤し、両側性に尿管開口の通過障害を引き起こしている場合には腎後性腎不全の所見、異所性尿管など先天的な腎・泌尿器系疾患においては、水尿管、水腎症などによる慢性腎不全の所見、尿管や尿道の損傷に関しては急性腎不全の所見が観察されることがある。

尿路系疾患の尿検査所見
血尿、膿尿、細菌尿のほかに尿検査所見に特徴的な所見があらわれる疾患として、腎盂結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石、膀胱腫瘍などがある。
膀胱、尿道結石においては通常結石の主成分である結晶が尿中に出現するが、必ずしも結石があるからといってその結晶が尿中にみとめられるわけではない。
膀胱腫瘍では尿中に腫瘍細胞が観察される。ただし、膀胱の腫瘍すべてにおいて観察されるわけでなく、主として観察されるのは、移行上被癌が疑われる症例に対して尿の沈査を用いて細胞診すると、細胞が変性していることが多く誤診することがあるので、新鮮尿または膀胱洗浄液を用いて尿沈査を行う。

尿路系の疾患の画像診断
X線やエコーを用いた診断は非常に有効であるが、注意する点は診断操作の段階で医原性に膀胱や尿道を損傷することである。
単純X線検査―有用性としてはX線不透過性の尿席に対する診断だけでなく、尿失禁や膀胱アトニーを呈する神経性尿尿路疾患に対して有用である。
膀胱結石:大きさ、数、位置を把握
尿道結石:大きさ、数、位置ならびに膀胱結石との併発有無を把握
膀胱腫瘍:膀胱壁の石灰化、腰下リンパ節の腫大の有無。尿管の拡大(通常、単純X線撮影で尿管を確認することはできない)
神経因性膀胱:自然排尿後、膀胱に尿が貯留、充満しているかどうか。充満の程度は異常か正常か。

静脈尿路造影
腎盂、尿管の形態、X線透過性の結石に対する診断法だが、先天性尿路疾患や膀胱腫瘍が疑われる場合には必ず行うべきである。
(腎機能に異常がなければ、造影剤を投与する)

膀胱陽性造影
主に膀胱壁、膀胱粘膜面の異常を観察診断する方法である。
膀胱炎、膀胱結石:膀胱壁の厚さ、膀胱粘膜の異常を把握。
膀胱憩室、尿膜管遺残:憩室の位置、大きさの確認。
膀胱腫瘍:腫瘤部の位置と大きさの把握、膀胱粘膜の異常を把握。
神経因性膀胱:内尿道括約筋の状態を把握、膀胱アトニーの有無を確認。

膀胱二重造影
主に膀胱内のX線透過の結石、単純X線では確認できない小さな異物、血餅などを発見する時に有用であり、また膀胱粘膜、膀胱壁の異常を膀胱陽性造影により詳細に検討することができる。
膀胱結石、膀胱内異物:大きさ、数の確認、空泡と誤診しないように注意する。
膀胱炎:膀胱壁、膀胱粘膜の異常、憩室の有無を把握。
膀胱潰瘍:側面像、腹背像、斜位像などいくつかの角度を変えて撮影。
膀胱腫瘍:主要の大き、位置を確認。

逆行性尿道造影
主に結石、異物の確認に用いられる他、尿道狭窄、尿道閉塞の程度ならびに尿道の走行など診断する方法。
尿道結石:位置、大きさ、位置を確認。
尿道狭窄:狭窄の位置、程度を把握。
神経因性暴行:骨盤腔内尿道の走行の異常を把握。

順行性尿道造影
まれだが、尿失禁や膀胱アトニーを示すような疾患に対して用いられる。

経膣尿道造影
主にメスの尿道造影、異所性尿管、膣内腫瘤の診断に用いられる。
異所性尿管:開口部の位置を確認。
膣内腫瘤:腫瘤の位置、大きさ、数を把握。

尿道閉塞を伴わない下部尿路疾患の一般的な原因
1993年〜1995年 刺激性排尿の様々な症状の132匹の猫

  • 70匹  突発性膀胱炎
  • 12匹  尿道閉塞
  • 11匹  全身性疾患
  • 10匹  異常行動
  • 8匹  ストルバイト結石症
  • 7匹  シュウ酸カルシウム結石症
  • 2匹  腫瘍
  • 1匹  成分不明の尿結石、尿路感染症

この結果は尿道閉塞を伴わない下部尿路疾患のケースの2/3は突発性膀胱炎であることを示し、割合は40年ほど変わっていない。

食餌は長年下部尿路疾患と関連があるとされてきた要因である。
食餌とこの疾患の関係は非常に複雑であるが、食餌療法は突発性膀胱炎、ストルバイトやシュウ酸カルシウムによる尿路結石症の症例で効果をもたらす可能性がある。

突発性膀胱炎
非感染かつ炎症性であり、下部尿路に慢性的な症状が存在し、尿は無菌尿で細胞診でも異常を認めず(尿円柱、上皮細胞、腫瘍細胞、白血球などが沈査に存在しない)、さらに診断検査のX線やエコーなどを的確に行っても他に原因が考えられない場合に突発性膀胱炎と診断が下される。
この病気の潜在的要因や原因は不明であり、推奨されるような明確な治療法はない。
したがって、この病気に対する理解が今後進むまで、食餌の定常性・含水量・組織について十分考慮したうえで食餌療法を行う事が推奨される。
『CAP NO 126』

★ しかし多くの病院ではとりあえず抗生物質を!と1週間くらい処方されることが多いのではないだろうか。
★ 上記のように様々な検査をきちんと行わずして、診断する病院も多いのではないであろうか。
★ 頻尿、血尿など症状がある場合には、ご相談ください。改善可能なサプリメントをお勧めいたします。


猫の尿路疾患の再発を予防するために

≪食事の変更≫
危険さを減らすには、缶詰タイプや手作り食をプラスして与える事も大切です。
アズミラの猫缶は特にお勧めです。

  1. 自由給餌方式をやめて給餌スケジュールを決め、1日2回、それぞれ1時間だけ食餌を出して置くようにしてください。
    頻繁な給仕は尿をアルカリ性に傾かせ、砂と石を形成させます。
  2. 1週間位かけて食餌内容を良質な製品に完全に切り替えてください。
  3. 缶詰を使用したくない場合、または猫が食べない場合には、代わりにドライフードカップ1杯につき1〜2杯のお湯を加えてください。
  4. 味付け用に何か少量(マグロ、ササミ、サーモン、などの肉汁)を新しい食餌に混ぜると嗜好性が高くなることが多いです。
  5. 最低でも毎日どのくらいの食餌を与えるべきかを考えて下さい。
    食餌を切り替えの途中では、食べきらなくても異常であるとは限りませんので、体重が10%以上減らない限りそれほど心配する必要はないでしょう。
  6. 気が散らないような静かな環境で食餌を与えて、多頭数飼いの場合には、1匹に1つのお皿を用意しましょう。

≪尿結石の予防≫
尿結石の形成を防ぐ手助けとして、水分摂取量を増やす事も大切です。
水分の摂取量が増えれば、尿が希釈されることになり、メリットになります。

  • 結石を構成するミネラル成分の尿中濃度を減らす
  • 排尿回数が増えるので、尿結石が形成される時間が足りなくなってしまう
  • 飲水量が増えれば、新しい尿結石が形成される危険性が減るので、予防のための処方食や薬を与えなくて済む

しかし水を飲ませるために高塩分の食餌を与えるという方式の市販フードを与える事は間違いです。
腎臓や心臓の障害の原因になります。
★ その他の慢性疾患がある場合には、その他のサプリメントも必要になってきますのでご相談ください。

≪水分摂取量を増やすには≫

  1. ドライフードであれ、缶詰であれ食餌の中に清浄水(水道水は止めてください)を混ぜるようにする
  2. 食事用の近くの、常備の水入れを無視してしまうならば、違う形の水入れを使う、ほんの少量水を出しっぱなしにしておく
  3. 水煮のツナ、シャケなどの肉汁など水気の多いものを食事に混ぜる、野菜もMIXする
  4. 肉や魚の煮汁を凍らせて手作った味付けアイスキューブを水のみに入れるなどをお試しください。

食事の改善だけではなく、FUSの予防、再発予防にはビタミンCは必須です。
5歳以上の犬猫や体質的に罹りやすい体質の子にはユッカなども食餌にプラスしましょう。
血尿、頻尿など発症症状のあるときには、他のサプリメントも必要となりますので、ご相談ください。


突発性下部尿路疾患の管理に使用される薬剤

   薬 剤 名   
分類
推奨量
備考
尿酸化剤と殺菌剤

塩化アンモニウム

尿酸化剤

105〜300mg/kg/日

嘔吐、食欲不振
若猫や腎機能不全・肝機能不全のある猫は禁忌

dlメチオニンと塩化
アンモニウム

尿酸化剤

1.13g/1頭/日/PO

アシドーシス、腎不全、肝不全の猫で禁忌

メテナミン

尿路殺菌剤

250mg/1頭PO1日2回

腎機能不全、肝機能不全の猫で禁忌

dlメチオニン

尿酸化剤

1000〜1500mg/1頭/日PO
又は
0.2〜0.5g/1頭/1日2回

アシドーシス、腎不全、肝不全の猫で禁忌

鎮痙薬

ダントロレン

骨格筋弛緩薬

0.5〜2mg/kgPO 1日3回
又は
1mg/kg IV

鎮静作用、肝毒性、脱力をおこすことがある。
心疾患、肺疾患や以前間疾患のあった猫で禁忌

ジアゼパム

ベンゾジアゼピン系:骨格筋弛緩薬

1〜2.5mg/kgPO 1日3回

鎮静作用、食欲増加、肝毒性をおこすことがある

オキシブチニン

鎮座薬:抗コリン作動薬

0.5〜1.25mg/kgPO 1日2回
又は
1日3回

副作用として嘔吐、便秘、尿貯留、流ぜんがみられる

フェノキシベンザミン

αアドレナリン拮抗薬

2.5〜7.5mg/kgPO 1日1回
又は
1日2回

血圧低下、消化器障害をおこすことがある

プラゾシン

αアドレナリン拮抗薬

0.       03〜1.25mg/kg IV 
又は
0.25mg/1頭 PO1日1回

血圧低下がおこることがある

プロパンテリン

抗コリン作動薬

7.5mg/1頭 PO 72時間ごと
又は
5〜7.5mg/1頭 PO1日3回

副作用として嘔吐、便秘、尿貯留、流ぜんがみられる

その他の薬剤

アミトリプチリン

三環系抗うつ薬

2.5〜12.5mg/1頭/日PO

鎮静作用、体重増加、被毛の質が悪くなることがある

ブトルファノール

合成麻酔薬

作動性拮抗性鎮痛剤

1〜1.25mg/1頭 PO1日2〜4回
又は
0.3mg/kg PO1日2〜4回

鎮静作用をおこすことがある

ヒドロキシジン

抗ヒスタミン剤

5〜10mg/1頭 PO 1日2回

鎮静作用をおこすことがある

イミプラミン

三環系抗うつ薬

2.5〜5mg/1頭 PO 1日2回

鎮静作用をおこすことがある

ポリ硫酸ペントサン

グリコサミノグリカン代替薬

8mg/kg PO 1日2回

鎮静作用、体重増加、被毛の質が悪くなることがある

抗炎症剤

ジメチル・スルフォキサイド

抗炎症剤、鎮痛剤、抗菌作用は不明

10%DMSOを10〜20ml膀胱内に注入

局所刺激性がでることがある

プレドニゾン、プレドニゾロン

抗炎症剤

1〜2mg/kg PO 1日1回

尿カテーテルを留置している猫では禁忌

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